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修道院の“悪魔憑き” カンヌ女優2人が語る「汚れなき祈り」

修道院で実際に起きた「悪魔憑き事件」を基にしたルーマニア映画「汚れなき祈り」。ともに映画デビュー作で、昨年のカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したコスミナ・ストラタン(28)とクリスティナ・フルトゥル(35)が来日、役柄とは一変し、はつらつとした笑顔を見せた。

〔フォト〕再会したアリーナはヴォイキツァへの思いが募る

 製作、監督、脚本を手がけたクリスティアン・ムンジウ監督(44)は前作「4ヶ月、3週と2日」が2007年のカンヌ国際映画祭でルーマニア初の最高賞・パルムドールを獲得。今作は同脚本賞を受賞した俊英だ。オーディションで選ばれた舞台女優のフルトゥルは「一番好きなムンジウ監督作に出たいと思っていた。今でも信じられない」。ストラタンは「ジャーナリストをしていたが、『大学に戻って演劇を専攻する』と言ったら仕事仲間から『どうやって生活していくの』と。根拠はなかったけれど、『卒業したらムンジウ監督と映画を撮るから』と言ったら、卒業前に実現した」という。

 ドイツ暮らしのアリーナ(フルトゥル)が、同じ孤児院で育ったヴォイキツァ(ストラタン)に会いにルーマニアへ戻る。願いは愛しのヴォイキツァと一緒にいること。だが、ヴォイキツァは信仰に目覚め、アリーナは精神を患っていく。

 05年に起きた事件を下敷きに、信仰と愛のはざまで悲劇が描かれる。フルトゥルにとって難関は、修道院で暴れるアリーナが板に縛り付けられる場面。「『早く何とかして』と叫ぶくらい感情が高ぶった。でも、周りの皆は火が付くまで時間がかかり、私は疲れきって次のテークを演じる体力が尽きてしまった」

 2人ともカンヌ受賞で花開いた。ストラタンは「映画も舞台も必要」。フルトゥルも「私のいる場所は撮影現場だと思ったし、また映画に出演したい」と夢はふくらむ。

 16日から全国順次公開。