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元ポト派幹部 イエン・サリ被告死亡 大量虐殺の真相究明さらに遠のく

【マニラ=青木伸行】旧ポル・ポト政権(1975~79年)の大量虐殺を裁くカンボジア特別法廷によると、政権の元副首相兼外相で公判中のイエン・サリ被告が14日午前、死去した。87歳。人道に対する罪などに問われた元ポト派幹部4人のうち、2人の訴追が停止あるいは終結となり、大量虐殺の真相究明はいっそう困難となった。

 ポト派ナンバー3のイエン・サリ被告は4日に、持病の心臓疾患などのため、法廷の勾留施設から病院に搬送され、弁護人は危篤状態だとしていた。特別法廷は同被告への訴訟は終結するとしている。

 他のポト派幹部では、イエン・サリ被告の妻で元社会問題相のイエン・チリト被告の訴訟が昨年9月、認知症の進行により「訴訟能力がない」と判断され、停止されている。また、元国家幹部会議長のキュー・サムファン、元ポト派ナンバー2で人民代表議会議長だったヌオン・チア両被告も、これまでに入院するなど体調不良を訴えている。

 こうした状況に、犠牲者の遺族は「イエン・サリは死により裁きを免れた。真実の究明は制限される」と、失望感を深めている。

 イエン・サリ被告は50年代、フランスに留学し左翼運動に入り、76年にポト政権の副首相兼外相に就任した。79年の政権崩壊後にゲリラ活動に入り、ヘン・サムリン政権下で死刑判決。96年に投降し、恩赦を経て2007年、特別法廷に逮捕され、10年9月に起訴された。11年6月から始まった公判では、容疑を否認している。