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<TPP>早期妥結見通せず…多くの分野で利害対立

米国、豪州、ニュージーランドなどTPP参加11カ国は、今年10月に交渉で大筋合意したうえで、年内までの最終合意を目指している。だが、関税撤廃や知的財産の保護、投資ルールなど交渉21分野の多くで各国の利害は対立。米国に次いで経済規模が大きく、発言力のある日本が加われば調整がさらに難航するのは必至で、早期の交渉妥結は見通せない。

 TPP交渉は10年3月以降、計16回会合が行われているが、これまで合意したのは、共通のホームページ作成などを通じ中小企業の協定利用を促進する環境整備策のみ。関税撤廃では、乳製品や砂糖の例外扱いを求める米豪とこれらの輸出を促進したいニュージーランドが反発。昨年12月に新加入したカナダも乳製品や鶏肉の例外化を求めている。知財分野でも、医薬品や治療法の特許権を強化し、輸出拡大を図る米国と他国の間で駆け引きが続いているとされる。

 安倍晋三首相が参加表明に踏み切ったのは、参加が遅れればルール作りに十分関与できなくなりかねないためだが、政府内でも「年内妥結は元々容易ではない」(経済産業省幹部)との見方が根強い。さらに、日本は自動車分野などで米国との対立を抱える一方、コメの関税撤廃の例外扱いや模造品・海賊版の取り締まり強化を求めることになりそう。調整難航に拍車がかかるのは必至で、参加国からは「妥結に何年かかるか分からない」(豪通商筋)との声もある。【小倉祥徳】